メガネをはずした、だけなのに
そんなに深刻な顔をして、謝るって何かあったの?
不安な気持ちを隠すように、私はニコルに話かけた。
「すごかったね、賢斗くんのピアノ演奏」
「……」
「ニコルも体育館を抜け出してきたんだね」
「……弓子ちゃんが、賢斗クンを追いかけてくの見えたからだよ」
「そうなんだ」
会話が途切れ、気まずい空気が流れる。
この場にいても仕方ないので、お互いの教室に戻ろうと声をかけた。
――その時。
「あたしも、賢斗クンが好きなの!」
「えっ……」
ニコルの言葉に、私は戸惑いを見せる。
「弓子ちゃんに黙って、何度も賢斗クンに告白してたんだよ……」