メガネをはずした、だけなのに
握り拳を作るニコルの両手に、力が入って震えてる。
青い瞳から涙があふれ、頬を伝って流れ落ちた。
顔を俯かせたニコルが、涙声で口を開く。
「中学生の時も、高校に入ってからだって、好きな気持ちを賢斗クンに伝えてきたんだよ!何度も告白をくり返してきたんだけど……」
「うん……」
「いつも断られてた、弓子ちゃんが好きだからって……」
下を向くニコルの瞳から、ポトポト落ちる涙の雫が見える。
こんなにも感情的に涙を流す姿を、初めて目にした。
ニコルが賢斗くんを好きなのは気づいてた。
でも、はっきりと自分の思いを伝えて、賢斗くんは断り続けてたんだね。
何度も告白してたのは初耳だけど、好きな気持ちを押さえることはできないよ。
「弓子ちゃん、片思い卒業おめでとう!」
潤んだ瞳のまま、顔を上げたニコルが微笑みかけてくる。
私は思わず、駆け寄って抱きしめてしまう……