メガネをはずした、だけなのに
1.ちょっと見た目が・・・
今日から高校一年生、学校生活が始まった。
桜の花びらが舞い散る通学路を、私は一人で歩いてる。
視線を前に向けると、目の前に見覚えのある後ろ姿の男の子がいた。
「賢斗くん、おはよう!」
私は制服姿の彼に向かって、なれなれしく名前で挨拶をする。
賢斗くんは歩みを止めて振り返り、私の顔を見て愛想のない無表情のままつぶやいた。
「なんだ、弓子か……」
「ちょっと、私が挨拶してるのに冷たい反応ね」
「……」
賢斗くんは無言で私を見つめてくるけど、口を閉じたまま話かけてこない。
何事もなかったみたいに歩き始めたので、私は彼を追いかける。
「どうして無視するのよ!」