メガネをはずした、だけなのに

「僕と一緒に、職員室へ行こうではないか! 先生に呼ばれてるのだよ!」


「私と相葉くん二人で、職員室に……」


「渡すプリントがあるようだ」


 二人で職員室に行くだけの話を、大げさにしてくる。

 相葉くんは、どうして回りくどい言い方しかできないのだろう。

 私は疲れて、はぁ~、と溜め息をついてしまった。


「綿貫くん、溜め息をつくと幸せが逃げていくぞっ!」


 まったくもう、相葉くんうるさすぎっ!

 いちいち(あご)を突き上げて、ふんっ、と鼻を鳴らしてる。


「いざ、ともに職員室へ向かおうではないかっ!」


 私はまだ昼食の途中で、お弁当が半分ほど残ってる。

 ご飯を食べ終えてから職員室へ来るよう、先生は言ってたはずなのに落ち着きがない。


「相葉くん、ちょっと待ってね。すぐ食べるから」


「承知したぞ、綿貫くん!」


 元気のいい返事で、わかってくれたようだけど……



 えっ、うそっ! ちょっと、信じられない!



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