メガネをはずした、だけなのに

 クラスメイトが自分の席に座り、先生が来るのを待ちかまえてる。

 教室の扉を開けると、みんなが注目してきた。

 クラスメイト全員の視線が私に向けられ、何だかちょっと怖い。


 無言で教室に足を踏み入れ、ゆっくり歩き進む。

 好奇の目で私を見つめてくるクラスメイトに構わず、窓際にある自分の席へ向かった。

 あの人は誰? みたいな感じで、こそこそ話てる声も聞こえる。


 みんな、私だって気づいてないのかしら?


 スカートの裾をみんなと同じくらいに短くして、紺ハイソを履いてきた。

 長くて重い印象を与えてしまう黒髪を束ねて、ポニーテールに結んでる。

 学校で先生に怒られない程度の、薄いメイクで明るい印象に。

 地味子を払拭するため、女子に人気のファッション雑誌を見ながら頑張ってみた。


 メガネをはずし、なれないコンタクトレンズにしてみたけど……


 賢斗くんは笑顔で()めてくれた、でもクラスメイトの反応は良くない。

 イメチェンなんて、やめておけば良かったと後悔してしまう。

 物珍しい動物でも見るように、視線が私を追いかけてくる。


 誰も声をかけてくれないし、挨拶すらしてくれない……



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