メガネをはずした、だけなのに

 驚きの歓声が上がる中で、クラスメイトが近づいてくる。

 あっという間に、私は周りを囲まれてしまう。

 どうやら、私が椅子に座るまで誰なのか分からなかったようだ。


「本当に綿貫さん? すごい美人なんですけど!」

「隣の教室の同級生が、まちがえて入ってきたのかと思ったよ!」

「カワイイよ綿貫さ~ん!」

「友達になってよ綿貫さん、とりあえず握手して!」

「こんなに素敵な女の子が委員長だったなんて、うれしすぎる!」


 私は動揺を隠せない、急に色々なことが起こりすぎて思考回路がパンクしそう!

 今まで見向きもされなかったけど、参考にしたファッション雑誌のおかげだよね。



「綿貫さん、おとなしいね」

「綿貫さん、地味だな」

「綿貫さん、息してる?」


 高校に入学してから酷い言われようだったのに、みんなの態度が激変。

 見た目が変わった私だけど、中身はいつもと一緒だよ。

 地味メガネの綿貫ですけど、こんなにも歓迎されていいのかしら?



 ――その時



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