メガネをはずした、だけなのに

 私は、何の考えも無いまま素直に答えてしまう。


「いえ、いませんけど……」


 昼休みの教室に、体育会系男子の低い声が響き渡る。


「やった~! バンザーイ! バンザーイ !」


 周りにいる男子に手首をつかまれ、何度も腕を上げて万歳させられた。

 体育会系の男子は元気がよくて声が大きく、独特の騒がしい雰囲気も未体験で動揺を隠せない。


 でも、どうして私に彼氏がいなかったら嬉しくてバンザイなのだろう。

 理解できなくて、横に首を傾げながら不思議顔をする。


 私の表情を見ていた梨木くんが、爽やかな笑顔で白い歯をキラッと光らせながら教えてくれた。


「みんなにチャンスがあるからだよ」


「えっ、なんのチャンス……」


 恥ずかしいのと、聞かれなかったので答えてないけど……



 私には、小学生の時から片思いをしてる幼なじみがいる。



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