メガネをはずした、だけなのに
どうして相葉くんに怒られたのか分からない。
ちょっと身を引いた私は、真相を確かめるのに聞き返した。
「私は裏切り者じゃないけど、なにかあったの?」
怒りで唇をピクピクさせる相葉くんが、私を睨んで言ってくる。
左手で前髪をかき上げ、流し目で話すのは、彼なりのクセか決めポーズらしい。
「綿貫くん、どうしてメガネをはずしたんだ」
「えっ、変だったかな?」
「いや、ハッキリ言ってすごく美人だよ。でも……」
「でも?」
「僕との眼鏡同盟はどうするつもりなのだっ! 仲間だと思ってたんだぞっ!」
相葉くんと眼鏡の同盟なんて怪しい組織、結成した覚えないんだけど……
「ひどいぞひどいぞ綿貫くん、委員長と副委員長の仲じゃないか!」
「あんまり関係ないと思うよ……」
相葉くんの言いがかりで、相談を打ち明けられない。
結局、良い提案を聞けないまま放課後になってしまった……