メガネをはずした、だけなのに

 次の学級会で取りまとめる議題を整理して、職員室にいる先生へ書類を提出してきた。

 委員長としての仕事も終わり、静まりかえったB組の教室に足を踏み入れる。

 すでに下校時間なので、廊下にも生徒の姿はない。


 窓際にある自分の席に歩み寄り、椅子に座って机に頬杖をつきながら外の景色を見つめ物思いにふけってる。


 グランドに視線を向けると、サッカー部が元気に走り回っていた。

 一年生でレギュラー入りの梨木くんも、ユニフォーム姿でボールを追いかけてる。


 スポーツ特待の推薦入学で、この高校に入学してきた梨木くん。

 中学校では有名なサッカー選手だったらしいけど、彼の過去を私は知らない。

 同級生に限らず、年上や年下の女子生徒から人気があったと聞いてる。


「年上の彼女さん、本当にいるのかな……」


 梨木の奴、綿貫って女を狙ってる。

 なんて噂話を聞いたら、嫌でも気になってしまうよね。


 でも、私だけじゃなく誰にでも同じ態度で気軽に話かけてる。

 きっと、他の女子と私を同じように見てると思う。

 私だけ特別あつかい、は態度を見て違うと感じていた。



 でも、勝手に勘違いして思い悩んじゃう……



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