メガネをはずした、だけなのに

「綿貫くん!いったい、どこで書類をまとめていたんだね!」


「……ヒミツよ」


「ヒ・ミ・ツ、などと可愛く言っても僕はダマされないぞっ!」


「……」


 相葉くんが大騒ぎするほど、私は可愛い口調で言ってない。

 最近の彼は、前みたいに「地味メガネ!」と叫びながら文句を言ってこなくなった。

 いったい、どういう心境の変化だろう。

 酷い悪態はいつもの事だけど、先に帰らないで校内にいたのはなぜ?


 まさか、私を探すために学校の中を歩き回っていたのかな……


 グラウンドを走り回ってボールを追いかけてた梨木くん。

 ちょっと気になるサッカー少年は、部活動を頑張ってるみたい。


 私は振り返って外を見つめ、グラウンドに視線を向けている。

 相葉くんが私の顔に視線を向けながら、静かに口を開いた。


「梨木のことが、気になるのかな……」



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