メガネをはずした、だけなのに

「別に、気にしてないけど……」


「うそだっ!頬が桜色に染まってるではないか!」


 照れて顔が赤くなってる、と言ったほうが伝わりやすいのに回りくどい。

 独特の言い回しで話てくる相葉くんに、嫌気がさしてきた。


「もう、どうだっていいでしょ!」


 私は鞄を持って席を立ち、教室を出ていこうとする。


「まちたまえ、綿貫くん!」


「ごめんなさい、先に帰るね」


 背中を向けて歩き出そうとした時、相葉くんが私の肩を手で掴んだ。


「えっ!なっ、なに?」


 掴んでいた私の肩を引っ張り、強引に振り向かせる。

 真剣な顔つきで私を見つめてくる相葉くんが、右手で前髪をかき上げながら見つめてきた。


 そして、いつもより声のトーンを低くして私に話かけてくる……



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