メガネをはずした、だけなのに

「ふえっ? 弓子ちゃんなにしてるの……」


 聞き覚えのある声がした。

 私は顔を横に向けて確認する。


 ――そこには!


 ご飯と納豆と演歌を愛する、青い瞳で金髪姿の大和撫子がポカンと口を開けていた。

 ニコルも目の前の状況を把握できず、教室の入り口に立ったまま呆然としてる。


「ニコル~!」


 潤んだ瞳の私が彼女の名前を呼ぶと、相葉くんは急いで体を引き離した。

 眼鏡のフレームを指先で何度も持ち上げ、動揺を隠せない様子。


「いま、抱き合ってた?むむ、ちょっとちがう……クソ眼鏡が強引に弓子ちゃんへ抱きついてたよね!」


 毒舌ニコルからの先制攻撃に、さすがの相葉くんも怯んでる。


「隣のクラスのキミには関係ないだろう……」


「うるさいクソ眼鏡!弓子ちゃんに何をしてたのよ!」


「べつに、よいではないか……」



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