メガネをはずした、だけなのに

「ミュージカルって、何のことだ?」


 賢斗くんが目を細めて私に言ってくる。


「あの、あのあの……」


 最悪な事態、いつもの癖が出てしまう。

 小学生からの幼なじみ男子、賢斗くんの前で動揺する姿を見せてしまった。

 あのあの、は私の心の乱れだと瞬時に見抜いたはず。


 青い瞳の金髪小悪魔が余計なことを言わなければ、平穏に過ごせてたよね……


「そっか、まあ頑張れよ」


「えっ……」


 賢斗くんが声のトーンを低くして話した後、何も言わずにA組の教室に入ってく。

 色々と深く掘り下げて聞く事は無く、口を噤んで姿を消した。

 男らしい姿を見て、私の胸はドキドキしてる。


 やっぱり賢斗くんはカッコイイなと、頬を赤く染めた私は再認識ていた。



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