メガネをはずした、だけなのに

 廊下に視線を向けると、背が低くて長い金髪の女の子が立っていた。


 ご飯と納豆と演歌を愛する、青い瞳の大和撫子が目を細めて見つめてる。

 唇の端をヒクヒク痙攣させながら、軽蔑の眼差し。


「ニコルぅ……」


 私は、小さな声で呟くように名前を呼んだ。


 梨木くんもニコルの存在に気づき、慌てて私から体を引き離す。

 さっきまでのグイグイくる感じは影を潜め、背中を向けて気まずそうにしてる。

 そんな梨木くんの態度を見たニコルは、声を荒げて叫ぶように言った。


不貞(ふてい)な人だわ、神性な巫女である弓子ちゃんに手を出すなんて!」


「キミには関係ないだろ……」


「いいこと、よく聞きなさい不貞な梨木クン!」


「なんだよ、うるさいな……」


「おだまり、不梨(ふなっしー)のくせに!」



 ふなっしー?



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