メガネをはずした、だけなのに
恐る恐るスマホの画面を見ると……
「ええっ!どうして梨木くんがその画像を持ってるのっ!」
私が巫女の姿で、箒を手に持ってる……
しかも、待ち受けになってるってどういうこと?
よく見たら、今の私より少し幼い印象。
髪の毛先が肩に掛かる程度の長さでメガネもしてないから、中学一年生ぐらいかな。
鳥居を掃除してる時の画像みたいだけど……
「綿貫さんも欲しい?」
「いや、自分の画像なんていらないよっ!」
イラッとした私は、ちょっと強い口調で言ってしまう。
きっと、サッカー部の同級生に私と同じ中学校だった男の子がいるんだ。
そうじゃないと、私の家が神社など詳しい事情を知るはずがない。
梨木くんに情報を流してる、スパイは誰なのかな……
中学生になった時は、小学校から顔見知りの人しか周りにいなかったので、私の家が地元の大きな神社だってみんな知ってた。
巫女さん姿の私を見ても「いろいろと忙しくて大変だな」と、目の前を通り過ぎていく程度。
一緒に並んで同級生と写真を撮ったことはあるけど、梨木くんが持ってる画像は私一人だけを写したもの。
――そういえば、中学生の時に聞いた噂話を思い出した。
「あのことかな……」