メガネをはずした、だけなのに

 ニコルと私は親友でなく共通の趣味もない。

 顔を見合わせれば言い争ってしまう不思議な関係。

 一緒にいても気兼ねなく何でも言い合えるので、楽だし気を使わなくてもいい。

 めんどくさい性格だけど、外見は凄く美人さんなので色々と残念な女子だ。


「ニコル、その怪しい英語の挨拶やめたほうがいいかもね……」


「ええぇ~! 地味な弓子ちゃんに言われたくないよ!」


「じっ、地味ですって!」


「うん」


 可愛らしく頷いたニコルは、小悪魔みたいに唇の端をニヤリと吊り上げる。

 スカートの(すそ)(ひるがえ)して背中を見せると、小走りで走り去って行く。


 長い金髪を(なび)かせながら走り去っていく、ニコルの背中を見つめながら私は呟いた。


「地味な弓子ちゃんか………」



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