メガネをはずした、だけなのに

 放課後になっても、憂鬱な気だるさは治まらない。


「最近、賢斗くん見かけないけど何してるのかな……」


 私は窓際にある自分の席で、椅子に座り机に頬杖を付きながら小声でつぶやいてた。

 紙パックにストローを刺して、オレンジジュースを飲みながら賢斗くんのことを脳裏に浮かべてる。


 すでにクラスメイトは帰宅したので、B組の教室には私一人しかいない。

 静かな教室で平和な時間を過ごしてる。


 さっき購買部へ行ったら、梨木くんの彼女さんと友人らしい人たちを目にした。

 私は、そそくさと買い物を済ませ背中を丸めて教室に戻ってくる。


 向かい合って睨まれた彼女さんの鋭い眼光は、思い出しただけでも膝が震えてしまう。

 触らぬ神に祟り無し、という言葉が頭を過ぎる。


 何気なく外を見ると、グラウンドでサッカー部が練習をしていた。

 梨木くんがボールをドリブルしながら走ってる。


 ――シュート!


 力強く蹴り出したボールがゴールに吸い込まれていく。


「ナイスシュート……」



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