メガネをはずした、だけなのに

 身振り手振りで大きなリアクションをする相葉くん。

 優雅に舞い踊る姿は白馬に乗った眼鏡王子……

 からはほど遠い、クセの強いナルシスト男子だ。


「はい、聞きますけど……」


 いつもの仕草で私に視線を向けてくる相葉くん。

 左手で前髪をかき上げ、流し目で見つめてきた。


「綿貫くん、キミを愛してるっ!」


「……はい、ありがとうございます」


「なんだね、その冷たい態度は!」


 何を言っても反発してくる相葉くん。

 でも、梨木くんと違って正々堂々としてる。


「ごめんなさい、今日は朝から色々とあって疲れてるの……」


 相葉くんが私の言葉を聞き終わると、静かに教壇へ立った。

 眼鏡のフレームを指先で持ち上げ、本題へ入ってく。


「だいたいのことは、すでに報告を受けている」



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