メガネをはずした、だけなのに

「えっ、もしかして……」


「今日は災難だったな、綿貫くん」


 相葉くんの知り合いにもスパイがいるみたい。

 梨木くんとのことは、すべてお見通しのようね。


 だとしたら、クラスメイトのほとんどが今朝の事を知ってるのかな。


 相葉くんの「好きだ、愛してる」は冗談として見られてるから楽だ。

 一方の梨木くんは、目立たないようにグイグイ攻めてくる。

 年上の本命彼女さんがいるのに、行動が疑問だ。


 私には小学生の時から片思いしてる男の子がいますから。


 でも、相葉くんだって結構な感じでグイグイ押してくる。

 抱き付いて交際を申し込んできた時は驚いたけど……


 思い出しただけで、胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちだ。

 教壇に立つ相葉くんを見ただけで、あの時のドキドキを思い出す。


「綿貫くん、どうしたんだ?顔が赤いぞ?」


「えっ、うそっ……」



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