メガネをはずした、だけなのに

 私は口を半開きにしたまま、ぼうぜんと立ちつくしていた。

 同じ中学に通っていた同級生のニコルにも地味と言われて、すごくショックが大きい。


 背が小さくて見た目はお人形さんみたいなニコル、笑顔もみんなを癒してくれる。

 でも、結構な毒舌なのでトラブルも多く、仲の良い親友は少ないようだ。

 外見が可愛いので、ニコルに近づいてくる男子もいるけど、みんな扱いきれずに離れていく。


「はぁ……」


 私は溜め息まじりでトボトボと歩き進み、高校の生徒玄関にたどりつく。

 すでに大勢の新入生たちで賑わっている中、外履きのローファーから上履きに履替える。

 廊下の壁に張られたクラス分けの紙に近づいて目を向けた。


 先に校舎へ入ってた賢斗くんが、クラス分けの張り紙を見つめてる。

 その背後から忍び足で近づくニコルが、賢斗くんの耳元で大声を出した。


「わわわっ!」



 さらに背中を両手でバシバシたたいて、驚かせようとしてる。


 スラリとした細身の体で振り返る賢斗くん。



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