獅子だからと婚約破棄された私だけど、番に出会ってとても幸せです。
「――そういえば、あの子と王太子殿下、別れそうらしいわよ」
「え? 私とあれだけ盛大に婚約破棄した理由なのに?」
「ええ。そうみたいよ。ソーニナは最近社交界から離れているから知らないでしょうけれど、獣人の国から貴族が来ているの。番を探しているのですって。とても美しい男性で、あの子もその方に夢中になっているのよ。それで喧嘩しているのよ。面白いわよね」
「あらあら……。真実の愛を見つけたと言っていたのに。それにしてもサーフェお姉様は、辛辣ね」
今日はサーフェお姉様が私の様子を見に来ていた。サーフェお姉様は、お父様譲りの金色の髪と、私と同じ青い瞳を持つ。その頭からは時々獅子の耳が出ている。でも耳だけだと、大変愛らしく見えるのよね。
「そりゃあそうよ。私の可愛いソーニナと婚約破棄をしたんですからね!! 王太子殿下なんてあの子にフラれてしまえばいいんですもの」
「それでサーフェお姉様、その方は番を見つけられそうなの?」
「いえ、今の所、どんな令嬢に近づかれてもそつない態度だもの。それに番というのは、身分とか関係なしに本能で分かるものらしいの。だから令嬢たちだけではなく、街にも出て行ったりしているみたいだわ」
番というのは、身分や種族を問わないものらしい。だからこそ、いざ番を見つけてもその相手がもう結婚していたりすることもあれば、一生番に会えないこともあるらしい。その場合は違う相手と結婚したり、独りを貫いたり、色んな未来を選ぶらしい。
あとは結婚していて、その後番に出会っても結婚相手を尊重したり、色々あるのだとか。
だけれどもその遠く離れた獣人の国からわざわざその方が此処に来たのは、誰かと結婚するにしても番に出会ってから決めたいと思ったからだそうだ。でも貴族として期限もちゃんと決めているらしい。
「ソーニナも、その方に会ってみない? 獣人のことをもっと知れるだろうし、ソーニナも気分転換になるでしょう?」
「そうね……でも、今の婚約破棄されたばかりの私がその方に近づくと、悪い方向で噂になると思うわ。王太子殿下に突っかかってこられそうですし……」
あと何より社交界に行かずに引きこもって、領地でのんびり過ごすのが楽しい……! という本音は流石に口にしなかったけれど、サーフェお姉様にはすっかりバレていたらしい。
「ソーニナがそれでいいならいいわ。でも落ち着いたらちゃんと貴族の義務として社交界には行きましょうね?」
「もちろんですわ。サーフェお姉様」
というわけで私は引き続き、のんびりとすることにしたのだが……、
「獣人の国の貴族の方がこの屋敷に来る!?」
噂の獣人の国の貴族は、私のいる屋敷に来るらしい。
「獣人の血を深く継いでいるソーニナに興味を持ったらしいよ。あとは番かもしれない可能性は誰にでもあるから会いたいっていうのもあるらしいけれど」
「……分かりましたわ。会いましょう。それに屋敷で会うのならば、社交界で会うよりも騒ぎにならないでしょうし」
私は獣人の国の方にちゃんとあったことはない。だからこそ会う事自体は全然かまわない。寧ろ興味はある。あと、家にその方がくるとなると、噂になりそうだから、広まったらまた引きこもり生活が継続できるしいいかなって気持ちはある。
それにしてもそれだけ貴族令嬢たちが夢中になっている貴族かぁ。そう思いながら、男性としての興味はあまりない。というのも、私は今までどんなに綺麗な方にも恋愛的な意味でときめかないだろうなぁという自信があるからである。
獣人の特性や獣人の国の話を聞けたらいいなぁとそんな風に軽く身構えていた。
だけれど――、
「はじめまして。私はユージム・ダイスです」
その黒髪に、黄色い瞳の男性を見た時に、胸が撃ち抜かれてしまった。
「え? 私とあれだけ盛大に婚約破棄した理由なのに?」
「ええ。そうみたいよ。ソーニナは最近社交界から離れているから知らないでしょうけれど、獣人の国から貴族が来ているの。番を探しているのですって。とても美しい男性で、あの子もその方に夢中になっているのよ。それで喧嘩しているのよ。面白いわよね」
「あらあら……。真実の愛を見つけたと言っていたのに。それにしてもサーフェお姉様は、辛辣ね」
今日はサーフェお姉様が私の様子を見に来ていた。サーフェお姉様は、お父様譲りの金色の髪と、私と同じ青い瞳を持つ。その頭からは時々獅子の耳が出ている。でも耳だけだと、大変愛らしく見えるのよね。
「そりゃあそうよ。私の可愛いソーニナと婚約破棄をしたんですからね!! 王太子殿下なんてあの子にフラれてしまえばいいんですもの」
「それでサーフェお姉様、その方は番を見つけられそうなの?」
「いえ、今の所、どんな令嬢に近づかれてもそつない態度だもの。それに番というのは、身分とか関係なしに本能で分かるものらしいの。だから令嬢たちだけではなく、街にも出て行ったりしているみたいだわ」
番というのは、身分や種族を問わないものらしい。だからこそ、いざ番を見つけてもその相手がもう結婚していたりすることもあれば、一生番に会えないこともあるらしい。その場合は違う相手と結婚したり、独りを貫いたり、色んな未来を選ぶらしい。
あとは結婚していて、その後番に出会っても結婚相手を尊重したり、色々あるのだとか。
だけれどもその遠く離れた獣人の国からわざわざその方が此処に来たのは、誰かと結婚するにしても番に出会ってから決めたいと思ったからだそうだ。でも貴族として期限もちゃんと決めているらしい。
「ソーニナも、その方に会ってみない? 獣人のことをもっと知れるだろうし、ソーニナも気分転換になるでしょう?」
「そうね……でも、今の婚約破棄されたばかりの私がその方に近づくと、悪い方向で噂になると思うわ。王太子殿下に突っかかってこられそうですし……」
あと何より社交界に行かずに引きこもって、領地でのんびり過ごすのが楽しい……! という本音は流石に口にしなかったけれど、サーフェお姉様にはすっかりバレていたらしい。
「ソーニナがそれでいいならいいわ。でも落ち着いたらちゃんと貴族の義務として社交界には行きましょうね?」
「もちろんですわ。サーフェお姉様」
というわけで私は引き続き、のんびりとすることにしたのだが……、
「獣人の国の貴族の方がこの屋敷に来る!?」
噂の獣人の国の貴族は、私のいる屋敷に来るらしい。
「獣人の血を深く継いでいるソーニナに興味を持ったらしいよ。あとは番かもしれない可能性は誰にでもあるから会いたいっていうのもあるらしいけれど」
「……分かりましたわ。会いましょう。それに屋敷で会うのならば、社交界で会うよりも騒ぎにならないでしょうし」
私は獣人の国の方にちゃんとあったことはない。だからこそ会う事自体は全然かまわない。寧ろ興味はある。あと、家にその方がくるとなると、噂になりそうだから、広まったらまた引きこもり生活が継続できるしいいかなって気持ちはある。
それにしてもそれだけ貴族令嬢たちが夢中になっている貴族かぁ。そう思いながら、男性としての興味はあまりない。というのも、私は今までどんなに綺麗な方にも恋愛的な意味でときめかないだろうなぁという自信があるからである。
獣人の特性や獣人の国の話を聞けたらいいなぁとそんな風に軽く身構えていた。
だけれど――、
「はじめまして。私はユージム・ダイスです」
その黒髪に、黄色い瞳の男性を見た時に、胸が撃ち抜かれてしまった。