獅子だからと婚約破棄された私だけど、番に出会ってとても幸せです。
そして一か月ほど経過した。
この一か月はとても幸せだった。でもユージムがずっとここにいるわけではない。
「あ、あのユージム」
ユージムももうすぐ帰ってしまうだろう。ずっと国を開けているわけにもいかない。私はずっと幸せに一か月過ごしていたけれども、それでもユージムの心がこちらに向かないのならば……、うん、夢は夢のままだということ。
ユージムから決定的な言葉はもらってないから、こっちから言ってみることにした。これでフラれたら私は大泣きする自信はあるけれども、それでも私は我慢できなかった。
「どうした?」
「わ、私、一か月ずっと過ごしていて、ユージムのことが大好きだなって思ったの。ユージムのことを一目みた時からかっこいいな素敵だなと思っていたけれど、一緒に過ごしていてもっと大好きになったのよ。美味しそうに食べている顔を見ているだけで幸せで、優しくて、その笑みを見ているだけでドキドキして……。だから私、ユージムと結婚したいわ。ユージムが嫌じゃなかったらだけど……だ、駄目?」
思わず途中から下を向いてしまった。
自分から結婚したいなんて言い出すなんて、私は結構思い切ったことをしている。あまりこうやって女性から結婚をほのめかすことはこの国ではあまりない。だけど私はユージムが大好きって気持ちで一杯だったので、そのまま告げてしまった。
やっぱり私、ユージムと出会って、ユージムが大好きになって、暴走気味な気がするわ。
下を向いていた私の頬に、ユージムの手が触れる。
「顔をあげて、ソーニナ」
私はそんな優しい声に顔をあげる。優しい顔をしたユージムがそこにいる。
「もちろんだよ。ソーニナ。俺もソーニナが好きだから」
「本当!?」
「もちろん。……本当はこっちから言うつもりだったんだよ。でもソーニナに好きって言われたら我慢できなくなりそうだから、ギリギリまで言わないでおこうって」
「我慢してるの? 我慢なんていらないわよ」
「……いや、流石に婚前交渉は駄目だろう」
そんなことを口にされて、思わずぼっと顔が赤くなる。こ、婚前交渉って!! 我慢できないって口づけとかそういうレベルかと思ったのに、そういうことまでしたいと思ってくれているのね。
嬉しいけれど恥ずかしいわ。私の頭から耳が、お尻からは尻尾が生える。
頬に手をやられて、じっと見つめられて……私はもう心臓が爆発しそう!!
「でも口づけぐらいならしてもいい?」
こくこくと私が頷けば、ユージムの顔が近づいてくる。その瞬間、私は制御がきかずに顔や手足が獣化した。完全に獅子の顔の私である。いやいや、口づけされそうになって、それって!! 自分でやってしまったってかんじよ。ユージムに制御の仕方も習っているのに。でもやっぱり口づけされると思うと我慢出来ないもの。
でもユージムは気にせずに、その獅子の顔の私に口づけをした。好きな人に口づけをされて、頭がいっぱいになった私はそのまま気絶してしまうのであった。
……目が覚めてからユージムに何度も謝られた。でもゆっくり私が慣れるまで口づけをしてくれるらしい。
そして正式にユージムにプロポーズもされた。
「ソーニナ、俺と結婚してくれ。初めて目にした時からなんて綺麗だろうって思った。番だから本能的に惹かれていた気持ちもある。でも一か月、此処で過ごしてソーニナのかわいらしさに中身も好きになったんだ。俺は君とずっと一緒に居たい」
「ええ。もちろん!!」
きちんとしたユージムの言葉に私は即答した。
お父様やお母様たちにもユージムが話を通して私はユージムの国に嫁ぐことになった。とはいえ、私とユージムが屋敷で仲良く過ごしているのを見てそうなるのは家族にとっては想像出来たことらしい。
お兄様何て「寧ろ、これでソーニナを選ばなかったら怒っていた」なんて言っていた。周りから見たら明らかに両想いだったらしい。……お姉様たちも「良かったわね」と喜んでくれて、とても嬉しかった。
社交界ではユージムが屋敷にいることで色々噂されているらしく、そういうのが面倒なので、私は社交界復帰せずにユージムの元へ嫁ぐことになった。もちろん、準備期間はあるからその間はユージムと少し離れ離れになるけれど。
そして二カ月ほど、ユージムと手紙のやり取りをしながら嫁ぐのを楽しみに過ごしていた。
ちなみにそれまでの間に王太子殿下やそのお相手であった令嬢が突撃してくることはあったようが、全部家族に追い返されていたらしく、私は会うことはなかった。というか、しばらく経ってから聞かされたわけだけど。
「これからユージムのお嫁さんになれると思うと嬉しいわ。ユージムは私の世界で一番素敵な旦那様だわ」
「俺もソーニナと結婚できると思うと嬉しいよ。俺の可愛いお嫁さん」
そうやって二人で笑いあってから、結婚式に挑んだのだった。
――婚約破棄された時は、こんな幸せな未来がくるとは思っていなかった。
私は獣人の血を強く継いでいて、獅子の姿になることがあった。
だからこそその獅子の姿まで受け入れてくれる人がいるとは思わなかった。
けれどユージムは私のどんな姿も受け入れてくれて、私を好きだと言ってくれている。
私はとても幸せなだ。
――獅子だからと婚約破棄された私だけど、番に出会ってとても幸せです。
この一か月はとても幸せだった。でもユージムがずっとここにいるわけではない。
「あ、あのユージム」
ユージムももうすぐ帰ってしまうだろう。ずっと国を開けているわけにもいかない。私はずっと幸せに一か月過ごしていたけれども、それでもユージムの心がこちらに向かないのならば……、うん、夢は夢のままだということ。
ユージムから決定的な言葉はもらってないから、こっちから言ってみることにした。これでフラれたら私は大泣きする自信はあるけれども、それでも私は我慢できなかった。
「どうした?」
「わ、私、一か月ずっと過ごしていて、ユージムのことが大好きだなって思ったの。ユージムのことを一目みた時からかっこいいな素敵だなと思っていたけれど、一緒に過ごしていてもっと大好きになったのよ。美味しそうに食べている顔を見ているだけで幸せで、優しくて、その笑みを見ているだけでドキドキして……。だから私、ユージムと結婚したいわ。ユージムが嫌じゃなかったらだけど……だ、駄目?」
思わず途中から下を向いてしまった。
自分から結婚したいなんて言い出すなんて、私は結構思い切ったことをしている。あまりこうやって女性から結婚をほのめかすことはこの国ではあまりない。だけど私はユージムが大好きって気持ちで一杯だったので、そのまま告げてしまった。
やっぱり私、ユージムと出会って、ユージムが大好きになって、暴走気味な気がするわ。
下を向いていた私の頬に、ユージムの手が触れる。
「顔をあげて、ソーニナ」
私はそんな優しい声に顔をあげる。優しい顔をしたユージムがそこにいる。
「もちろんだよ。ソーニナ。俺もソーニナが好きだから」
「本当!?」
「もちろん。……本当はこっちから言うつもりだったんだよ。でもソーニナに好きって言われたら我慢できなくなりそうだから、ギリギリまで言わないでおこうって」
「我慢してるの? 我慢なんていらないわよ」
「……いや、流石に婚前交渉は駄目だろう」
そんなことを口にされて、思わずぼっと顔が赤くなる。こ、婚前交渉って!! 我慢できないって口づけとかそういうレベルかと思ったのに、そういうことまでしたいと思ってくれているのね。
嬉しいけれど恥ずかしいわ。私の頭から耳が、お尻からは尻尾が生える。
頬に手をやられて、じっと見つめられて……私はもう心臓が爆発しそう!!
「でも口づけぐらいならしてもいい?」
こくこくと私が頷けば、ユージムの顔が近づいてくる。その瞬間、私は制御がきかずに顔や手足が獣化した。完全に獅子の顔の私である。いやいや、口づけされそうになって、それって!! 自分でやってしまったってかんじよ。ユージムに制御の仕方も習っているのに。でもやっぱり口づけされると思うと我慢出来ないもの。
でもユージムは気にせずに、その獅子の顔の私に口づけをした。好きな人に口づけをされて、頭がいっぱいになった私はそのまま気絶してしまうのであった。
……目が覚めてからユージムに何度も謝られた。でもゆっくり私が慣れるまで口づけをしてくれるらしい。
そして正式にユージムにプロポーズもされた。
「ソーニナ、俺と結婚してくれ。初めて目にした時からなんて綺麗だろうって思った。番だから本能的に惹かれていた気持ちもある。でも一か月、此処で過ごしてソーニナのかわいらしさに中身も好きになったんだ。俺は君とずっと一緒に居たい」
「ええ。もちろん!!」
きちんとしたユージムの言葉に私は即答した。
お父様やお母様たちにもユージムが話を通して私はユージムの国に嫁ぐことになった。とはいえ、私とユージムが屋敷で仲良く過ごしているのを見てそうなるのは家族にとっては想像出来たことらしい。
お兄様何て「寧ろ、これでソーニナを選ばなかったら怒っていた」なんて言っていた。周りから見たら明らかに両想いだったらしい。……お姉様たちも「良かったわね」と喜んでくれて、とても嬉しかった。
社交界ではユージムが屋敷にいることで色々噂されているらしく、そういうのが面倒なので、私は社交界復帰せずにユージムの元へ嫁ぐことになった。もちろん、準備期間はあるからその間はユージムと少し離れ離れになるけれど。
そして二カ月ほど、ユージムと手紙のやり取りをしながら嫁ぐのを楽しみに過ごしていた。
ちなみにそれまでの間に王太子殿下やそのお相手であった令嬢が突撃してくることはあったようが、全部家族に追い返されていたらしく、私は会うことはなかった。というか、しばらく経ってから聞かされたわけだけど。
「これからユージムのお嫁さんになれると思うと嬉しいわ。ユージムは私の世界で一番素敵な旦那様だわ」
「俺もソーニナと結婚できると思うと嬉しいよ。俺の可愛いお嫁さん」
そうやって二人で笑いあってから、結婚式に挑んだのだった。
――婚約破棄された時は、こんな幸せな未来がくるとは思っていなかった。
私は獣人の血を強く継いでいて、獅子の姿になることがあった。
だからこそその獅子の姿まで受け入れてくれる人がいるとは思わなかった。
けれどユージムは私のどんな姿も受け入れてくれて、私を好きだと言ってくれている。
私はとても幸せなだ。
――獅子だからと婚約破棄された私だけど、番に出会ってとても幸せです。