毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
「僕にそんな態度を取るのは君だけだよ。僕は"そういう君"に興味が湧くんだよね」
"そういう君"と、やけに強調してこちらを見つめる王子様の視線は私の視線を絡めとって逃がさない。
意味深な言葉と視線で私を捕らえるその姿は王子様とはかけ離れていて……その姿はまるで獲物を狙う肉食動物のよう。
物理的には何にも捕らわれていないというのに、どうしてか動けなくなる。
「僕は"可愛くない"君を知っているよ」
「……なにを言ってるのかわからないよ」
「僕相手に誤魔化しても無駄なんだけどな」
くすくすと笑う王子様は余裕綽々。
私は"可愛くない"だなんて、予想外のことを言われて戸惑っているのに、だ。
「基本的に、人にも興味がないよね」
そうでしょ?と問いかけられるも、言葉を失っている私はなにも答えられない。
もしかして、彼も私と同じ中学出身なのだろうか?