毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


それから何度怒られても愛想笑いが出来ないまま成長し、小学校へ入学することになったとき、両親とランドセルを買いに行った。


それはずっと長く使うものだと聞いていたから、柄にもなくそわそわして前日はなかなか眠れなかったのを覚えている。


それくらい、楽しみにしていた。


しかし、売り場に着いてから水色のランドセルが欲しいと言ったとき。


『なんでわざわざそんな色を選ぶの?かれんはピンクが似合うんだからそれにしなさい。パパもそう思うでしょう?』

『そうだなぁ。水色なんて普通は女の子が選ぶ色じゃないしなぁ……ピンクのランドセルを買おうか』


と、両親の意見の一致により可愛らしい桃色のランドセルを背負わされた。


似合うとか女の子らしさとか。そんなくだらない理由でランドセルの持ち主となる私の意見は一蹴された。


母がそういう人だというのはわかっていたけれど、父までもがそんなことを気にしていたという事実に、なんとなく裏切られたような気分になった。


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