毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
『あの子は生まれてこの方、ほぼ全ての男子の人気を集めていた。あの子が笑えば周りの男子はみんな瞬時に虜になっていたし、告白だって止まることを知らなかった。でも、アンタと同じ学校になってからはあの子のことを見る人は一人もいなくなって……ニコリとも笑わないアンタだけが慕われている。そんなの、おかしいだろ?』
『ふっ……』
『今、鼻で笑ったのか?』
あぁ、しまった。逆恨みのレベルが低い……いや、ある意味高いとも言えるのだろうか。ともかく、あまりにも言いがかりが酷いものだから鼻から息が漏れてしまった。
一番初めの子は頭が良さそうなのだから、冷静になって考えて見ればわかるだろうに。どうしてここにいるのか。
おかしくてたまらない。
大方、リーダー格の子がおかしな方向に向かっている正義感を発揮して招集したんだろうが……これ、言いたい放題されているのを黙って聞いてるだけなんて、そんなの私が馬鹿みたいだ。
『そうだけど、それがどうかした?……で?つまりあなた達は何が言いたいの?それらが私のせいだって?』
自分の感情をよくわかっていなかったのは私も同じだったらしい。
面白いと思う反面、ふつふつと怒りが湧いてくる。
静かに見つめ返していただけの視線が怒りを込めた鋭い睨みへと変わり、私を二回も叩いたはずの相手が怯んでいるのがわかった。