毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


一番遠くにいるあの子もこれまでの二人と同様で怠慢が原因だと思われる。


私が可愛くて思春期の男子達にとって簡単に惹かれてしまう危ない存在であることは否定しないが、彼女もなかなか整った顔立ちをしているのだ。普通なら人気が二分されるはず。


それでも、私の方に人気が偏っているのは男子達が彼女の外見以外に魅力を感じていないから。顔が可愛いだけの人よりも、それに付加価値があるのならその人の方が好かれるのは当たり前で、中学一年生の頃の私でもわかったこと。


男子にチヤホヤされたいという願望があるのなら私と被らない魅力を備えておけばいいだけのことを、私を恨んで、あんなに怖い顔をして睨んでくるんだから男子達が離れていくのも頷ける。


もしもあの子の性格が良かったのなら……あるいは悪かったとしてもそこを頑張って改善していたのなら、愛想のない私に人気が偏るはずがない。


彼女は人に好かれるため、人を引き止めるための努力をしなかった。つまり怠慢と言っても間違いではないだろう。


それぞれが甘えて最善を尽くしてこなかったくせに、それに気づくことなく……いや、考えようともせずに私へと責任転嫁してくるのはもう、ふざけんなとしか言いようがない。


我に返ったリーダー格の子が今にも逆ギレしそうに肩を震わせているから、口には出さないけど。


これ以上、正論を言ったらなにをされるかわかったもんじゃない。

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