毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
「最初は興味があるって程度だったんだよ?でも、君があまりにもかっこよくて可愛くて……危ういから。目が離せなくなってしまった」
「意味がわからない」
「君のことが大好きだから守ってあげたいってこと」
「……っ、それは同情してるだけでしょ。勘違いで好きって言うのはやめて」
「違う」
私の言葉尻を捕らえるように即答し、私の手を取っていたその手に力が込められる。
真っ直ぐ目の奥まで見つめるようなそんな眼差しに、疑う気持ちがぐらりと揺れた。
「君こそ僕の好意を信じるのが怖いからって、僕の気持ちを否定しないで」
「……ごめんなさい」
どこまで私の心を見透かされているのだろう。
今までされてきた告白が軽いものとは思っていないけど、ここまで重くて真剣な想いを伝えられたことはなくて。
初めてのことで、それを信じて裏切られたらと思うと凄く怖い。
だけど、自分の心を守りたいがために相手の心を蔑ろにするのは人として最低だ。
中学のときも似たようなことをして反省したはずなのに、人というのはなかなか変わらないものらしい。
「親に反抗するって、僕には考えられなかったんだ。そもそも僕の親は君の親とは違ってまともだから、逆らう理由もないんだけどね」
……ほう。なにか語り出したかと思えば他人の親に対してなかなかストレートな物言いをするじゃないか。
そういえばさっきも私の周りの人達はみんな馬鹿だって言っていたな。
王子様の面影はどこに行ったのか。