毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
なんだ、二人の間に一線引いていたことは気づかれていたのか。
水上くんにしろ慎くんにしろ、こんなにもバレバレでなにが演技派女子高生だ。ちっとも上手くやれていないじゃないか。
「だからたぶん、あのとき離れたのは無意識で、傷つけてしまったと思う。本当にごめん」
謝罪と同時に頭を下げられ、私は反応に困る。
彼に不信感を持たせてしまったのは、元はと言えば私の態度から来るもので。彼に非など微塵もないのに、私の気持ちを考えて謝ってくれる。
「だけど、たとえ笑顔が作り物だったとしても。かれんは周りの人たちを見下すような、人のものを奪ったりするような、そんな酷い子じゃないのは知ってるつもり」
本性を隠されているとわかっていながらも。それでも私のことを信じてくれる。
そんな彼をこれ以上縛り続けるわけにはいかない。
私が取るべき行動は一つだ。