毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
別れたことを言わなかったら、慎くんはこれからの高校生活において誰とも付き合えなくなると思うのだけど……そのことをわかってて言っているのだろうか?
もしかして、私のせいで人間不信になって誰とも付き合いたくないけど、フリーであることを公言すると女子からの告白が絶えなくなるから今度は私が女避けになってほしい、とか?
それとも、水上くんに負けっぱなしじゃ悔しいから付き合ったままだということにして牽制する……なんて、それは深読みしすぎか。
「俺がいても狙われるんだから、いなくなったらもっと大変でしょ?俺は別に彼女が欲しいわけじゃないし、かれんの盾になりたい」
きょとん、と小首を傾げていると、平然と騎士のようなセリフを言ってのけた。
忠誠は誓わなくていい……次の彼女と幸せになってくれさえすればそれが本望なのだから……
「お願い。俺に守らせて」
……と、断る前にダメ押しされた。