毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
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Dear 結城 かれん 様
まず、水族館デートは楽しめたかな?
君は真面目だから純粋に楽しめずに何度も考え事をするんだろうけど、それでも最後は楽しかったって思ってもらえていたら嬉しいな。
もちろん僕は人生の中で一番の幸福を感じていただろうね。
僕は人混みがあまり好きじゃないんだけど、君となら喜んでどこにでも行くよ。
だから、また僕と一緒にデートをしようね。
さて、本題に入ろう。
僕は何度も君に想いを伝えているのだけど、君は頑なに拒む理由について。
とりあえず、坂本くんのことは抜きにして考えてみたんだ。なぜなら君は彼のことを異性として見ていないから。
彼より僕の方に心を許していると思うのは自惚れじゃないよね。
きっと君は僕と付き合いたくてたまらないのに、ぐだぐだとつまらない綺麗事を並べ立てて自ら不幸の道を歩みたがる。
目の前にある幸せをつかまないのはなぜなんだろうか。
坂本くんを騙していた自分が彼をふったあとに僕に乗り換えるのが最低だ、とか。
僕といると案外楽で素が出てしまうから危険だ、とか。
大方そんな僕にはよくわからない理由ばかりで、つまるところ他者から見ても倫理的にも"自分みたいな人と僕は釣り合わないから"なんてことを考えているとみた。