毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
僕からすれば『そんなのどうでもいいでしょ』の一言に尽きるんだけど。
僕と君との関係に他者の目や善悪が絡む意味がわからないんだもの。
両想いだったら付き合う。ただそれだけの単純なことなんだ。
だけど、君がそんなに気にすると言うなら僕はそれに付き合ってあげる。
君が納得しないと僕たちは幸せになれそうにないからね。
そもそも、君は僕のことを綺麗だと勘違いしているみたいだけど、僕は君が思っている以上に心が汚い。
君も薄々感じたことはあるんじゃないかな?
例えば、僕は口が悪い。誰にでも毒を吐きがちだし、それを止めようとも思わない。
さすがに空気は読むから、毒を吐きそうになったときはそれを堪えて、黙って笑顔でやり過ごすんだ。
本心を隠して笑顔を作るところは君と同じだね。
本心を隠して演じることを……悪く言えば人を欺くことを醜いと君が言うのなら、僕は綺麗な人間じゃない。
他にも、僕に群がる女子たちを見ると"頭が残念な下等生物"くらい思っちゃうし、君に近づく人全員に"一週間のうちに小さな不幸が十個くらい起こればいい"なんて考えちゃうんだ。
そんな僕と自称醜い人である君はとってもお似合いだと思わない?