毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
ふと、手紙から目を離し、枕元の目覚まし時計に目をやると、時計の針は23時半を表していた。
どのくらい考え込んでいたのか、わからない。
明日は学校だからもう寝なければいけないというのに、理性に反して体は勉強机の方へと向かう。
「返事……書かなきゃ」
A4サイズのルーズリーフを取り出し、定規を使って4分の1に破り、ペン立てからお気に入りのシャーペンを引き抜く。
それから走り書きで一言。
『待ってて』
"水上くんの好きな結城かれん"になってあなたの元へ行くから。
それまでほんの少しの間だけ。
いつも通り、私を見守っていて。