毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


……まぁ、もう彼氏じゃないからなにも言えない、というのはわかるけど。
だからと言ってそこで黙ってしまうのはあまりよろしくないと思う。


ほら、なっちゃんも『え、なんか地雷踏んじゃった?!』みたいな顔してるし。


私はどうしたらいいのだろうか。
出来れば二人には隠し事をしたくない。
実はもう付き合ってないと言っておきたいものだが……


「……俺たち、別れてるんだ」

「えぇぇぇぇぇ!?!?」

「知ってる」


私の心情を察してか、苦い顔をしながらも仕方なく告げる慎くんに対して、なっちゃんと凛ちゃんはそれぞれ異なる反応をした。

なっちゃんが凛ちゃんを見てまたびっくりしてるのが少し面白い。


「かれんがフリーになったことがバレたら大変になるかと思って、別れたことをみんなに言いたくないって言ったんだ」

「と言いつつ?」

「うるさい」

「せこいやつね」

「……そんなことわかってるよ」


なぜか慎くんと凛ちゃんが火花を散らし始めた。
脈絡がなさすぎてどうしてこうなったのかわからない。


「凛ちゃん、慎くんは優しい人ではあるけどせこい人ではないと思う」


とりあえずそこは否定しておく。

そしたら今度は、


「こんな純粋な子を騙して胸が痛まないの?」

「……痛みます」

「じゃあ、別れてることを広めてもいいわよね?」

「はい……」


凛ちゃんが主導権を握ってよくわからない話を終わらせた。

凛ちゃんはクールだと思ってたけど、なんか違う。圧が強いな。


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