毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


「まぁまぁ!別れたことが広まったらかれんちゃんが大変だっていうのもわかるよ!別れたかどうかを聞かれたら答える、くらいでいいんじゃないかな!」

「それもそうね」


蛇に睨まれた蛙の図へとなっちゃんが割って入ったことで、凛ちゃんの圧がなくなった。


当事者である私はなんの意見も出していないが……まぁいいか。


……あ、でも。あのことは言っておいた方がいい気がする。
そしたら慎くんが提案している男避けも必要なくなるし。


「私、水上くんのことが好き」


なんの話の流れもないまま告白をした私に、凛ちゃんも含めてみんなが視線を向けて固まった。


さっきから何度も驚いているなっちゃんは別として。

何事にも動じない凛ちゃんが驚くのと、私の気持ちを知っている慎くんが驚くのは予想外だ。


慎くんと話したときはぼかした言い方をしたけど、好きなことはすっかりバレているものだと思っていたから。


「両想いってことだよな?付き合うのか?」


若干震えた声で問う慎くんは、別れた日の彼と同じようで。
彼を傷つけるのも、心が痛むのも、変わらない。


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