毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


そして嫌がらせのように体重をかけられる。


小さい体に圧をかけて一体なにがしたいんだ。縮んだら責任をとってくれるんだろうか。


ぐぅぅぅ……と抗議ともとれる呻き声を出していると、耳元で拗ねたようにこう言われた。


「ねぇ……いつになったら坂本くんと別れるの?」


それを耳にした瞬間、思わず吹き出してしまった。さすがに情報が古すぎる。


いや、まぁ、私と慎くんは元からそんなにベタベタしていなかったし、お昼もなっちゃんと凛ちゃんを含めて一緒に食べるようになったから、特段関係性が変わったようには見えない。


だから、私たちに別れたかどうかを聞いてくるような人もいないわけで。


つまり、水上くんを含むみんなが付き合っていると勘違いしたままなのだ。


でも、それで勘違いしたまま勝手に拗ねて、爽やかさの欠片もない王子様は面白い以外の何物でもない。


しかし水上くんは吹き出した私を見て眉を顰め、


「僕、首を長くして待ってるんだけど」


なんて言うからさすがに真顔に戻した。

ふざけているとこのまま手錠でもかけられ、閉じ込められてしまいそうだ。真面目に話をしようじゃないか。

< 199 / 207 >

この作品をシェア

pagetop