毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


「告白した次の日に"待ってて"って来たから僕を選んでくれたと思ったのに。僕の勘違いだなんて言わせないよ」

「とりあえず落ちつこうか」

「結城さんは焦らすのが上手だね。でも、やり過ぎは良くないよ?僕は我慢するのがそんなに得意じゃないんだ」


そろそろネタばらしをしようと口を挟もうとするも、まくし立てる水上くんを止めることが出来ない。


水上くんは我慢することが苦手なのはとっくにわかりきってることで。
だからこそ一刻も早く告白をしようとしているのに、



「結城さん、好きだよ。早く僕の彼女になってよ」



と、私をしっかりと抱き締めながら懇願するように先にその言葉を言った。

そして私はそれにしれっと便乗して、


「いいよ」


ただ短く、そう答えた。


ここで答えなかったら、またしばらく水上くんの勢いが止まらずに言う機会を逃していたかもしれない。

私からの告白は出来なかったが、これで付き合うことになったんだと思う。

さすがに私が二股をかけるような女だとは思われていないだろうから、慎くんと別れたということも伝わったはず。


たった三文字で今日のミッションをクリア出来たことになる。

意外とあっさり終わったものだ。


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