毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


あぁ、でも。


「……好きって思うことが多くて困る」


好きだって思う度に言っていたら、この人は脳内ピンク一色なんだと思われてしまいそう。

それは良くない。
自分で言い出したことだが、考え直した方がいい。


どうしようかと頭を悩ませていると、あからさまなため息が聞こえた。


「僕は必死で我慢しているのに、そういうこと言われると理性が働かなくなるんだよね、わかる?」


……どうして私は責められているのだろう。

私は嬉しい気持ちになって欲しくて考えていたのに、なにか間違えたのだろうか。


「わからない」


とりあえず、なにを言ってるのかわからないからそう答えておく。

と、するりと後頭部に手を添えられ、


ちゅっ、ちゅ。っと。


おでこやまぶた、頬、耳にまでいくつものキスが落とされる。


「な、なに。ちょっと待って」

「待たない」


されるがままで恥ずかしいのに、嬉しい気持ちもあって突き離せない。

落とされる熱を感じる度に好きだって言われてるみたいだ。


でもやっぱり恥ずかしくて、心臓の音が加速していく。
頬に熱が集まっているのも気のせいじゃない。


水上くんもそれをわかっているはずなのに、止まってくれない。
自分の気が済むまでやりたい放題だ。


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