毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
「改めてよろしく。晴」
「こちらこそだよ。かれん」
抱き締めあったまま名前を呼んで、呼ばれて。
嬉しくて、むず痒くて、楽しくて。
こんなに幸せでいいんだろうかと、逆に怖くもなるけれど。
『────僕と幸せになろう』
晴がそう言ってくれたから。
私は隣で、楽な自分のままで晴と幸せを分かち合う。
私が奥手なせいで、私たち二人の進むペースは遅いだろうけど。
それでも確実に前へと進んでいく。
────これからも毒舌王子は私の心を甘く溶かすのだから。