毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
30%の学校生活
無事に放課後デートを終えた次の日。
予告通り、実力テストが行われた。
この学校にはテストの結果を掲示板に貼り出す、というプライバシーの配慮に欠けた文化は存在しない様子。
つまり、全力を出して良い点数を取ったとしても目立たないということである。
実に好都合。
さすがの高校生の情報網も私の入学方法や学力までは把握しきれていないようで、密かに学力推薦で入ったことまでは知られていないようだ。
推薦で入ったということは筆記試験を受けていないということなのだが……定期考査で毎回一位を取っている身としては、筆記試験がなくて良かったと心底思う。
なぜなら入学式での挨拶は毎年、入試の首席が行うものだから。
目立つことこの上ない、かつ、おバカキャラが通らずに初手から詰むところだった。
ここまで私がおバカであることにこだわるのは、経験上、おバカであることの方が妬みや嫉みを受けることがなく平穏に過ごせるからである。
……はたして、自分より上のレベルの人を素直に慕うことが出来る、認めることが出来る中高生は一体どれくらいいるのだろうか?
仲が良い子であれば素直に認めることが出来るだろうが、噂に聞く"男子にモテる可愛い子"が自分より遥かに頭が良い……可愛いだけじゃなくて頭も良いとなれば攻撃したくなるのが女子という生き物。
偏見ではなく事実。
出る杭は打たれるものなのだ。
こちらからすればとんだ逆恨みで、いい迷惑な話だが。