毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


「凛ちゃんは仲間じゃないでしょ!来ちゃダメ!」

……なんてことを言うんだ。
確かに凛ちゃんの頭がいいことは周知の事実だが。


「ふーん。そんなこと言うわけね。へぇ」

「な、なに!」

「別に?私はかれんと今度二人きりで楽しいことするから気にしないで」


黒い笑みを浮かべる凛ちゃんに怯えた様子のなっちゃん。私に抱きつく腕が若干震えている。
力関係は既にわかっていたのだから歯向かわなければいいものを……学習しない子だ。


そんなことより、二人きりで遊びに行く約束なんてしてない。
その言葉は私が気にする。

この学校で一番心を許しているのが凛ちゃんというのは事実だが、かと言ってプライベートで二人きりで関わるかと言われたら答えは否。

その辺りは割り切っているのである。
……であれば私がとる行動は一つ。


「なっちゃんと凛ちゃんと私の三人で行きたいなぁ。ねぇなっちゃん、本当にダメ……?」


天使の真似のおねだり顔、第二弾。

今回は私がなっちゃんを抱きしめていて上から見下ろしているのが以前と異なる点。
上目遣いがないところがマイナスポイント。


しかし、それでも多少効果はあったようで、


「だ、ダメなわけないじゃん!三人で行こう!」


チョロすぎである。
……抱きしめる力を強めないでいただきたい。お、折れる……骨が……。


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