毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
舞は素の私を知っているし、屋上には誰も来るはずがないのだから仮面を被る必要がない。
ここで過ごす時間は非常に精神的に救われるものなのだ。
「当然、理不尽に押し付けられた仕事とはいえ、最後までやり切ってみせる。みんなは楽しみにしてるみたいだから。楽しませる」
『やっぱりかれんちゃんはかっこいいなぁ……同じ学校に進めたら良かったのに』
昔から素の私をかっこいい、と言ってくれる舞はスポーツ推薦で違う高校へと進学した。
正直なところ、親友と離れて寂しいのは私も同じである。
本人へ言ったことはないが。
「それはもう言ってもどうにもならないでしょ?また暇な時に遊ぼうか。予定は私が合わせるから」
『うふふ。嬉しい。また連絡するね』
「うん、よろしく。愚痴を聞いてくれてありがとう」
『かれんちゃんの愚痴ならいつでも歓迎だよ』
そう優しく穏やかに言ってくれたことにもお礼を言って、電話を終了した。