毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


……えっと。どうしてこうなった?

いや、事のいきさつはわかる。

二組の男子は私と話したくて、一組の女子は王子様と話したかったんだろう。それはわかる。

わかるけど納得できない。したくない。


最近の私は運が悪い気がする。
委員を押し付けられたり、こうやって無駄な関わりを持ったり。


最悪だ。


「あはは、楽しそうだね!」


もはや笑うしかない。
乾いた笑いにならないように気をつけて。


高校生の大人数での集団は一般のお客さんに迷惑がかかるかもしれないから、避けた方がいいんじゃないか。


と却下したいところだが、私はそんな真面目なことを言うキャラではなく、ご飯も本当なら断りたいがそれも出来ない。


流れに身を任せ、そこからはわいわいと盛り上がって必要な買い物を済ませた。


「あ、俺そろそろボールペンのインク切れそうなんだよな。文房具屋に寄ってきてもいいか?」


そろそろファミレスに行こうと誰かが提案したとき、とある男子がみんなへ問う。


「……私も新しいシャーペンが欲しかったから、行こうかな!」


半ば、どさくさに紛れて抜け出せたらいいという期待も込めつつ便乗した。

……が、そう甘くもないらしく、


「二人が行くなら私も行こっかな!」

「っつか、みんなで行こーぜ」


便乗に便乗され、結局はみんなで向かうこととなった。

……諦めも肝心だ。

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