毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
クーラーがガンガンに効いていれば話は別なのだが……エコ活動云々により設定温度は高めである。
もう一度言う。暑い。
人間同士がくっついたらそりゃあもう暑い。見てる側からしても暑いだろう。
そのことを頭でよく理解していながらなぜこのような阿呆みたいなことをしているのか。
答えは簡単、キャラ作り。
思考と言動の口調が一致していないのは、意図的に現実での口調を変えているからだ。
演技派女子高生、結城かれん。
って、なんかちょっとかっこいいと思ってしまった。
女優さんっぽくて素敵じゃない?
芸能人になりたいという願望は全くないけれど、言葉の響きが凄く良い。
とまぁ、面白くもない冗談はさておき。
私はあるときから見た目通りのキャラを演じようと決めた。
演劇部に所属しているわけでもなければ、血縁者に演劇関係の者がいるわけでもなかったから、演じる才能は微塵もなく。
最初は表情筋が筋肉痛になったり、感情と表情が一致しなかったりと、かなり苦労したが……。
毎日鏡の前で完璧な愛嬌のある笑顔を作る練習や、パーソナルスペースを侵されても表情を崩さない、むしろ同性相手には自ら侵す、といった精神的苦痛も厭わずに頑張った結果。
なんとか今年の四月、入学式までには100%演じることが出来るようになったのだった。