毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす
文化祭の時はいきなり捕まえられるやら、寝ぼけてたやらで恥じらいというものはなかったのだが、真正面でまぁまぁな至近距離で目が合うとなると、いくらクールな私といえども鼓動が高鳴る。
跳ねる鼓動に伴い、体がぴくっと反応した。
しかし、なんでもないことのように接する王子様を見るに、やはり女子とのこの距離感は普通であり、私もその他大勢の1人であるということを認識させられた。
と同時に、なぜか心がもやっとした。
……ん?もや?
「顔がいいからってセクハラは許されないぞー」
もやもやした理由を考える前に、先生がべりっと私から水上くんを引き剥がす。
「俺だって叶うことなら可愛いJKに触りたい」
人に注意をしておきながら堂々と欲望を口に出すこの男は今すぐにでも教師を辞めるべきだと思う。
もしくは警察に捕まるべき。
「先生を犯罪者にしたくないのでもう戻りますね〜」
冗談か本気かわからないけども。
身の危険を感じた私は返事を待たずに部屋から出た。
教師に身の危険を感じるって深刻な問題じゃないか。
あの教師に関わるとろくな事にならない。
今後は半径5m以内に近づかないようにしよう。