雲居の神子たち
そうだった。この二人は恋人同士なんだ。
ぐったりと横になった志学を、白蓮が抱え起こす。
「何ともならないのよね?」
白蓮には聞こえないくらい小さな声で囁いてみたが、尊は黙って首を振った。
まだ命の灯が残っていれば救うこともできたかもしれないが、すでに冷たくなった体ではどうしようもない。
「ごめんね、白蓮」
もう少し早ければ、救えたかもしれないのに。
「何を言っているの?志学は稲早を罠にはめたのよ。白蓮を救うために稲早を差し出そうとしたのよ」
それまで黙っていた八雲が、まくし立てる。
うん、わかっている。
でも、志学だって白蓮を助けたかっただけ。
大きな意味で言うならば、志学だって被害者なのよ。
「家に連れて帰って弔ってやろう」
石見が志学を抱え上げた。
この先白蓮はどうなるんだろう。
魔導士の女は消えたけれど、金で白蓮を買おうとした男は町に残っている。
これから先だって同じような目に合わない保証はない。
「一旦深山に帰りましょう」
床に崩れ落ちていた宇龍もやっと立ち上がった。
「深山に?」
「ええ、ことが落ち着けば皆さんを深山にお連れするようにと、朝倉神官から申しつかっておりますので」
ふーん。
「白蓮さん、あなたも一緒に参りましょう」
「白蓮も?」
「ええ。町は今火の海ですし、自宅に帰ってもいつまた襲われるかわかりません。一緒にお連れするのがいいと思います」
「そうね」
不思議と、反対する気にはならなかった。
ぐったりと横になった志学を、白蓮が抱え起こす。
「何ともならないのよね?」
白蓮には聞こえないくらい小さな声で囁いてみたが、尊は黙って首を振った。
まだ命の灯が残っていれば救うこともできたかもしれないが、すでに冷たくなった体ではどうしようもない。
「ごめんね、白蓮」
もう少し早ければ、救えたかもしれないのに。
「何を言っているの?志学は稲早を罠にはめたのよ。白蓮を救うために稲早を差し出そうとしたのよ」
それまで黙っていた八雲が、まくし立てる。
うん、わかっている。
でも、志学だって白蓮を助けたかっただけ。
大きな意味で言うならば、志学だって被害者なのよ。
「家に連れて帰って弔ってやろう」
石見が志学を抱え上げた。
この先白蓮はどうなるんだろう。
魔導士の女は消えたけれど、金で白蓮を買おうとした男は町に残っている。
これから先だって同じような目に合わない保証はない。
「一旦深山に帰りましょう」
床に崩れ落ちていた宇龍もやっと立ち上がった。
「深山に?」
「ええ、ことが落ち着けば皆さんを深山にお連れするようにと、朝倉神官から申しつかっておりますので」
ふーん。
「白蓮さん、あなたも一緒に参りましょう」
「白蓮も?」
「ええ。町は今火の海ですし、自宅に帰ってもいつまた襲われるかわかりません。一緒にお連れするのがいいと思います」
「そうね」
不思議と、反対する気にはならなかった。