雲居の神子たち
八雲を助けてくれた男性は、尊(たける)と名乗った。
18歳。
遠くの国から来た旅人。
探し求める物があり、旅をしているらしい。

私たちは、尊と共に、近くの茶店に入った。

正直、私も八雲も須佐も、子供だけで茶店に入るのは初めて。
何をどうしたらいいのかと悩んでいると、尊が
「ぜんざいを4つ」
と注文した。

程なく、運ばれてきたぜんざい。
「うわー、美味しい」
「旨いー」
思わず声が上がる。

普段、甘い物なんて口にできない私たちにとって、甘く煮た小豆の中に柔らかなお餅なんて夢のような食べ物。

そんな私たちを楽しそうに見る尊。
ぜんざいでこんなに喜んでいる自分が急に恥ずかしくなり、私は目を伏せた。

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