雲居の神子たち
「ねえ、手を貸して」
唐突に、尊が手を差し出した。

手を?
警戒する私に、
「何もしないから、ほら出して」
と右手をとる。

掌が上になるように自分の左手の上にのせると、右手を握り人差し指を立てる。

「尊?」
不安になって声をかけてしまった。

一体何をする気?

じーっと自分の人差し指を見つめた尊が、ふと私を見て笑った。
「いい?動かないでね」
そう言うと、人差し指をゆっくりと掌に近づける。

ええ?
えええっ?

尊の指は私の掌には当たってはいない。
なのに・・・温かい。
温かい何かが伝わってくる。
まるで、お日様の暖かさが一点に集中して当たるような感じ。
そして、その熱点は尊の指と共に動く。

「これは、尊が出しているの?」
真っ直ぐ、尊を見て訪ねた。

コクンと尊が頷いた。

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