雲居の神子たち
稲早、行方不明
***side須佐


俺は走り続けていた。

一体どのくらい経ったんだろう。
時間のことも、体の痛みも忘れて、ただ稲早を探すために走り回った。
稲早、どこにいるんだ。
叫び出したい気持ちを抑えて、俺は足を止め意識を集中した。

スーッと、周りの音が聞こえなくなる。

さらに集中すると、
景色がぼやけて見える。
そして、
稲早の気配を探す。

俺は、人の気配を感じることができる。
気配なんて曖昧な物だが、人それぞれ違う。
色だったり、臭いがったり、暖かさだったり。

稲早の気配は、燃えるような赤。
強くはないが、真っ赤な力が体の中に閉じ込められたような感じ。

もちろん、普段の生活の中で見えるわけではない。
意識を集中した時にだけ感じることができる。
けれど、そのことを俺は誰にも話したことはない。

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