雲居の神子たち

まずは、尊と行った茶店に向かってみる。
当然、店は閉まっている。
そりゃあそうだ。
こんな時間に町を歩く者はいない。

「ここで、別れたのですね?」
宇龍が店の周りを見て回る。

「ああ。ここで尊と別れてから、俺たちは3軒ほど先の店に行ったんだ」
茶店から稲早がいなくなった店の方を指さす。

その時、
カサカサ
通りの向こうで物音がした。

誰かいる？
俺も宇龍も駆けだした。

「待てっ」
必死に呼び止めるが、暗闇の中逃げる人影。

俺よりも一回り体格のいい宇龍が走って行き、角を曲がったところで逃げる人影を捕まえた。