雲居の神子たち
「ねえ、稲早さん」
少しだけ湿っぽい空気になった部屋で、白蓮が稲早に明るく声をかけてきた。
「何?」
「深山はどんなところなの?」
え?
あまりに意外な質問に、私の動きが止まった。
「私はこの家から出たことがないから、町のことも世の中のことも兄さんや志学が教えてくれることしか知らないの」
白蓮の声はすごく明るいのに、聞いている私のほうが切なくなって小さくうなずくこそしかできない。
「違うの。私は自分の不幸話をしたいんじゃなくてね、純粋に深山に興味があるの。だから、深山のことを教えてほしいの」
ふーん、深山のことねえ・・・
確かに、深山は神聖な場所だから誰でもが入れるところではない。
それぞれの国の治める直系の血族の子か、稀有な力を持った者のみが入山を許される。
一般にその内情が知られることのない神秘の存在。
白蓮が興味を持つのも当然かもしれない。
少しだけ湿っぽい空気になった部屋で、白蓮が稲早に明るく声をかけてきた。
「何?」
「深山はどんなところなの?」
え?
あまりに意外な質問に、私の動きが止まった。
「私はこの家から出たことがないから、町のことも世の中のことも兄さんや志学が教えてくれることしか知らないの」
白蓮の声はすごく明るいのに、聞いている私のほうが切なくなって小さくうなずくこそしかできない。
「違うの。私は自分の不幸話をしたいんじゃなくてね、純粋に深山に興味があるの。だから、深山のことを教えてほしいの」
ふーん、深山のことねえ・・・
確かに、深山は神聖な場所だから誰でもが入れるところではない。
それぞれの国の治める直系の血族の子か、稀有な力を持った者のみが入山を許される。
一般にその内情が知られることのない神秘の存在。
白蓮が興味を持つのも当然かもしれない。